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atelier fluid木彫りワークショップ指針

fluidの木彫りワークショップは「初心者の方もどうぞ」「みなさん素敵な物が作れますよ」と募集をしていますが、そもそも木彫り自体は「簡単なもの」の部類には入りません。
まず最初に自分で下絵を描かなくてはいけません。「絵が描けない」と仰る方はすごく多い印象です。
その後ノコギリで木を切るのも彫刻刀で彫るのも力仕事だし、粘土で足していくのと違って一度彫ってしまったら元に戻らないという怖さもあるようです。「立体感覚が無くてできない」という声もよく聞こえてきます。

まず、fluidの木彫りワークショップでは完成品よりも作ること自体に価値を見出しています。
もちろん最高の作品を持って帰ってもらいたいけど、前述の通り木彫りは簡単なものではないので数時間で思い通りのものが作れないのは当たり前です。
そこは失敗しそうだな、というところは軌道修正をしたり、失敗したところの手直しをしたりのお手伝いをするのが私たちの仕事なので、「うまく作れないかもしれない」「失敗するかもしれない」という不安な気持ちはfluidに来る時は忘れてきてもらい、ただ手元に集中する時間を楽しんで欲しいと思っています。

次に、作りたいものを作ることが一番だと思っています。
ワークショップに参加した感想として「難しかった」(これは「楽しかった」という感想と矛盾しません)と仰る方は多くいらっしゃいます。
なので「一番簡単なのは何ですか?」と聞かれることがよくあるのですが、その「難しかった」という感想はおそらく何を作っても湧いてくるものです。
簡単で確実に作れるものを作るよりも、作りたいものを作る方が楽しくて良いものが生まれると思うし、最初からそれを作ってもらいたいと考えています。
ワークショップにはその時々のモチーフがありますが、実はそれは目安程度に思っていて、モデルの写真とかけ離れていても「こんなの作りたい!」と言われれば「どうぞどうぞ、自由に作りましょう!」というスタンスです。
「自由に作る」ってハードルが高いことなので「モデルが可愛いからそれみたいに作りたい」というのももちろん歓迎です。
fluidの木彫りワークショップは「こう作りたい」という気持ちを大切にし、それを作るお手伝いをします。

fluidの木彫りワークショップは上達を目的にはしていません。
fluidでワークショップを始めて約2年半、本当にありがたいことにリピートで来てくださる方がとても多いです。
2回目、3回目、あるいは10回目20回目でもその時々でその人ごとの「こう作りたい」があるのでそれを叶えていくうちに思うように作れるようになって上達する、というのは思い描いている形です。
しかしワークショップの限られた時間の中で実現させたいのは「上達してもらうこと」ではありません。
実現してもらいたいのは「作りたいものを作りたいように作る、整った環境と限られた時間の中で1人では出せないパフォーマンスをする、1時間を10分に感じるような凝縮した時間を楽しんでもらう」といった事です。
それは、初めての方、何度も来ている方、図工の成績が「1」だった方にも、木彫りのプロにも、同時に現れ実現できる事だと思います。
なのでfluidの木彫りワークショップはどんなレベルの方も歓迎です。

上手じゃなくていい、出来るようにならなくてもいい、失敗してもいい。
「絵が描けない」「上手に作れない」は、どこまでも主観で、それを客観的に評価するようなことはしたくないと思っています。(かわいいは連呼してしまうのですが、それはそれでプレッシャーに感じる人もいそうなのでそこは丁寧になりたい…)
完成品を並べた時の素晴らしさは本物だし、他の参加者が作った作品を素敵に思う気持ちも本物で、誰もお世辞を言っている訳ではないという実感があります。完成品の写真の投稿を楽しみに見てくださる方も多い。
出来ない、出来なかった、失敗できない、失敗した、という気持ちは一度置いておいてもらいたい。
それは無くても誰も困らないものだから。
それを置いてきても安心できる場を作るためにはどうしたら良いかこれからも模索していきたいと思います。

誰もがそう感じている通り価値観はひとそれぞれで、世界はその方が良いと思います。
木彫りを習うことについても、もっと着実に一つ一つ教えてもらいながら安心して成長していきたいという方も居るなと感じることはしばしばありますが、そのようなスタイルの教室や先生もいるので(むしろその方が多いと思います)自分が安心して楽しく参加できる場所を見つけてもらいたいです。

fluidの木彫りワークショップでは「とりあえず一通りやってみよう!」「一番作りたいものから作ろう」「楽しかったね」をまず入り口にしたいので集中可能な時間に作業工程をぎゅっと詰め込んでいます。
木彫りは長い時間を掛けてこつこつやるやるのも楽しいし、その方が本来的でもあると思うのですが、時間を掛けられる分、完成まで辿り着く難しさもあります。
なので少々精度を置き去りにしても1回の参加で(2回のこともありますが)時間内にひとまず完成させるワークショップのスタイルをとっています。
(これが慌ただしくて合わないと思う方も居ると思うので違うスタイルも考えていきたい。)
そこから続けたいと思った人は「次はもう少し、次はもっと」と精度を上げてもらい、木彫りを続けない人にも「木彫りに集中する時間楽しかった」「案外可愛いのが出来た」という気持ちを持ち帰ってもらって気が向いたらまた何か(木彫り以外でも)手を動かして作る時間を持ってもらいたいなと思っています。